水男(ミズオ)
しばらくすると
平野がロビーに現れた。


平野はいつものとぼけた顔をしながら
高山が渡した自分の名刺を見て


笑い出した。


「ははは……すいません
この名刺の肩書はでっち上げなんですよ。


だって庶務課資料室長の平野より

サイコパス専門捜査チームって
名乗ったほうがかっこいいじゃありませんか。


ねえ?」



まだ笑っている平野を
唖然とした目で見つめる高山。


こんないい加減な男に
亜美のことが守れるんだろうか?


でも今はこの男にすがるしかない。


「刑事さん。俺見たんです」


息をのむ高山。


「俺、俊介が失踪した美里と
タクシーに乗ってたの見たんです」


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