水男(ミズオ)
小学生の高山君は無敵だった。


勉強もスポーツもいまいち。
何のとりえもない高山君だったが


カードを握った時だけは
まわりから天才と呼ばれた。


今日もクラスメートと
デュエルをして全勝した高山君。


「僕はつよーい!
いっちばんつよいぞー!」


胸を張って叫ぶ高山君。



さらに強い相手を求めて
高山君は旅に出た……


つもり。


青い空白い雲の下を
胸を張って歩く高山君。


空にトンビがくるりと
輪を描いている。


自分が最強だと思うと
世界が広がった気がする。


裏の家の犬も
全然怖くない。


いつもならわんわん吠えられると
涙目になるくせに


今日はにやりと笑って
犬をやり過ごす。


高山君は要するに
上機嫌。ノリノリだった。

< 191 / 240 >

この作品をシェア

pagetop