水男(ミズオ)
亜美の頬は赤く染まり
活力にあふれた顔をしている。


つい最近までアンニュイな顔をして
窓から外を眺めてばかりいたとは


思えない笑顔だ。


そして俊介はフロアを見渡して
こう言った。


「だれか事務用品の搬入を
手伝ってくれないかな?


1人でいいんだけど
頼むよ」


そう言って俊介が出て行ったあと


亜美は新人の男の子と
顔を見合わせた。


雑用は残念ながら
新入社員の仕事。


そして今


出勤している新人は
亜美とその男の子だけだった。


「力仕事だよな……」


そうつぶやく男の子。


「一人でいいって言ってたよな」


そう言って男の子は
亜美を指さした。


「お前行けよ。元気そうだし
力仕事にはぴったりだよ」


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