水男(ミズオ)
「ウソをついていると言ったのは
あなたの反応を見るために


私が少し罠を張ったんです。


言いすぎました。
申し訳ありません。


でもあなたは何か知ってるんじゃないですか?」


平野は今までとは全く違う
鋭い目つき。


「ボクのことを」


「なんにも知らないって
言ってるだろ?

本当なんだよ」


高山が震える声でそう言うと
平野はまた優しい笑顔に戻って


タバコを吸った。

煙が立ち上っていく様子を
見つめた平野は


優しい声で高山に尋ねる。


「私達もボクのことは
断片的にしか分かっていないんです。


どんな些細な手がかりでも
私達は得たいのです。


そんなときに
あの会議室にいた人達の中に


あの始まりの事件があった小学校に
通っていた人物がいたのは


偶然ではないと
考えて


失礼ながら今日こちらに
伺ったわけなのです」
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