涙のむこうで、君と永遠の恋をする。
「おはよう、渚くん」
「こんな所で立ち止まってどうしたの?」
笑顔を返すと、渚くんはあたしを不思議そうに見つめた。
あ、そうだ…あの人…。
あたしは、先程の電柱に視線を向ける。
でも、そこにはもうあの男の人はいなかった。
「たいした事じゃないんだけど、そこに変な男の人がいて…」
「え!?それで、何かされなかった!?」
あたしの両肩をつかんで、心配そうにあたしに顔を近づける渚くんに、あたしは目を見開く。
「うん、目が合ったくら……」
「ったく、明るくても油断ならないな。うん、ほのかちゃん、1人で出掛けるの禁止!」
あたしの言葉を遮って、1人頷く渚くんに、あたしは首を傾げる。
「でも、そんなの無理なんじゃ……」
「俺が、送るから!危ない目に合わせたくないんだ!」
渚くんは、たぶん…おそらくものすごく過保護?
優しすぎて、あたしはたまに笑ってしまう。
「なら、渚くんの事は誰が守るの?」
だから、自分をないがしろにしてしまいそうで少し…いや、物凄く心配。
「俺は男だからいいんだよ」
「……そういう問題?」
男だからとか、女だからとか関係ない気が…。
いつも守ってもらってばっかりだから、あたしも渚くんを守りたい…なんて、偉そうだって思われるかな。