涙のむこうで、君と永遠の恋をする。
「…………むぅ」
渚くんは唇を一文字に引き締めて、あたしを困ったような、照れたような顔で見つめてくる。
「渚くん?」
首を傾げると、渚くんは何故か、苦しそうに「はぁぁ」っと息をはいた。
「ほのかちゃんって、本当に可愛い………」
「へ……?」
あれ、今可愛いって言わなかった?
聞き間違い?
あたしの聞き間違いだったら恥ずかしいし、聞けないや。
渚くんは、首に手を当てて、空いた手をあたしに差し出す。
それを取るのが自然かのように、あたしは渚くんの手を握り返した。
「行こう、ほのかちゃん!」
「う、うん?」
渚くんはあたしを振り返ることなくどんどんあたしを引っ張って歩いていく。
いつもなら、歩幅を合わせてくれる渚くんにしては、珍しいことだった。
そんな渚くんの背中を見つめながら、あたしは繋げた手がうれしくて、そっとバレないように微笑むのだった。