涙のむこうで、君と永遠の恋をする。
⑥届かない想いと、閉ざした心
9月、季節はまだ残暑の残る秋へと変わる。
あたし達の制服も衣替えして、Yシャツも長袖、セーター着用もよくなった。
あたしはブレザーは着ずに、白のセーターだけで過ごしている。
「にしても、お化け屋敷かー、俺、メイド喫茶とかやりたかったわ」
「へぇ、琢磨がメイドやるの?気持ち悪いわね」
「ちげーよ!!」
琢磨くんと梨子は、3週間後に迫った文化祭の事で盛り上がっている。
そう、あたし達はクラスでお化け屋敷をする。
今は、その役割決めのホームルームなのだ。
「僕、おばけ役が向いてると思うんだよね」
「急に、どうしたの優真」
突然おばけ役を勝手でる優真くんに、渚くんは不思議そうな顔をした。
「ほら、このミステリアスな雰囲気を生かせると思う」
「自分で言うな!」
すかさず突っ込む渚くんに、周りがワッと笑いの渦に包まれる。