涙のむこうで、君と永遠の恋をする。


「この間、由子に会いに行ったんだ」

「………えっ……」


お母さんに会いに行った?

嘘でしょ、どうしてお母さんに会いに…。


そういえば、面会に行った時に、丸椅子が置いてあった事があった。


「由子、俺を前の旦那だと思ってるよ、相変わらず」

「あなたと、お父さんを間違えてる…?」


これも……病気のせい?


じゃあ、あたしがお母さんに誰が来たのって聞いたとき、お父さんだって言ったのも…この男だった?


それに、お母さんが急におかしくなったあの日も、もしかして…。


「そういえば、一緒に暮らしてた時も、いつの間にか俺を旦那だと思い込んでたな。だから、言ってやったんだ、娘じゃなければ、別れなかったのにってさ!」


「なに…を………言ってるの?」


この男の言っている意味が分からない。


娘じゃなくて、息子だったら帰ってくるって、そう言ったのは、お父さんじゃなかった……?


頭が混乱して、意識が朦朧としてくる。

まるで、考えることをやめてしまいたいかのように。









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