涙のむこうで、君と永遠の恋をする。
⑦大切なモノほど遠ざかる距離
「……渚くん、いつもありがとうね」
「いえ、俺がしたくてしてる事ですから!」
家の前、あたしは渚くんに手を引かれ、家を出る。
おばあちゃんが、渚くんに頭を下げていた。
「ほのかの事、どうかよろしくおねがいします」
そう、今は登校前。
渚くんはこうして、今まで通り、あたしの送り迎えをしてくれている。
おばあちゃんには、学校であったことを渚くんから話してくれた。
あたしは……あの日から、話す事も、食べる事も、寝る事もまともに出来ていない。
病院に行ったら、先生からは薬の量を増やすように言われたほどだ。
「ほのか、それ、鞄にいれておきなさい?」
おばあちゃんは、あたしの手を見て、注意する。
あたしの手にあるのは、タブレットケース、薬だ。
今では、この薬を手にもっていないと、不安でパニックを起こしそうになる。
だから、これはお守りのようなモノだった。