涙のむこうで、君と永遠の恋をする。


「唇、切れてる…血が少しついてるよ」


渚くんは「確かここに…」なんて言いながら、ガサゴソとスクールバックの中をあさっている。



朝、唇噛んだからだ…血、出てたの気づかなかったな。

渚くん、何探してるんだろう。


「あった!はい、ほのかちゃん」


不思議そうに見つめるあたしに、渚くんは何かを差し出す。


「これ……」


渚くんが差し出したのは、薄い青色、花柄のハンカチ。


え、これは渚くんのハンカチ??


それにしては、少し可愛いハンカチだ。



「お、俺の趣味とかじゃないんだ!母さんが、誕生日にくれて…。格好悪いよな…はぁ…」



ハンカチを手渡した渚くんは恥ずかしそうに顔を赤らめている。


それを受けとると、たまらなく胸が熱くなった。


なんだろう、人の優しさが辛かったはずなのに…。

今、胸にあるのは、泣きたくなるような満たされる感覚。

これを、人はなんていうんだろう。


嬉しい、悲しい、苦しいにも当てはまらない感情。


ーポロッ


こぼれてしまった一滴の涙。









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