【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
胃が……?
包み隠さない先生の言葉を耳にして、無意識に、お腹のあたりを手で押さえると今にも痛みが伝わってくるような気がして気持ち悪くなる。
体を丸めて手で口元を押さえかけたところで、はたと動きが止まる。
ひやり、背中のあたりが冷たくなった。
氷水を被った感覚にも似たそれに、頭から血の気が引く。
私、今何をしようとした……?
そんな懸念を抱く私の一瞬の行動を見逃さない。
先生ははあ、とため息を吐いて指を一つ一つ折っていく。
「胃潰瘍、原因不明の不調、平均値より遥かに低い身体性。
それと今、君の中で無意識の心理が働いたね。
君の症状は恐らく、ストレス性の記憶障害に違いない。事故のショックが原因だとこちらは見ているよ」
「……」
自分の事だというのに、実感はいまいち湧かない。
当然だ、と思った。
だって……