【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
「やっだなあ、洸くん。全然忘れてなかったって」
「目泳がせて何言ってんだよ」
「てゆーか帰っちゃダメってさっきも言ったでしょ。
あとで先輩がイチゴミルク買ってあげるから我慢しなさーい。
そして非常にマッチしたその姿を写真に収めてあげるから、ちゃんと待てができないとお預け!」
「俺は甘党じゃねーし、お子様扱いされる筋合いもねーよ。
写真なんか撮ってどうするつもりだよあんた」
漫才でもやっているかと見紛うやり取りを交互に見つめながら、小さく頷く。
この人は男の子だ、うん。
間違ってない……はず。
確認するように何度も心の内で言い聞かせる。
「…お前、今とんでもなく失礼な事考えてただろ」
ぎらりと鋭い視線に射抜かれて、さっと目を逸らす。
……なんて勘の鋭い人なんだろう。
恐るべき察知能力に冷や汗をかきながら、必死に首を横に振って否定して見せた。