【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。


人の噂ほど広がるのが早いものはないなとつくづく思う。


ああ、それよりも。


こんな悠長なことをしてる場合じゃなかったんだ。


一刻も早くここを離れないと非常にマズイことになる。


「さよなら」


手早く返事を済ませた後は、そう一言残して足早に教室を目指した。



階段を上って一直線に向かう。


早くしないと。



最悪を想像して身震いする。


急げ。急げ。もっと早く。


じゃないと、あの人にまた……




「あ、ヒメ」



階段を上りきって、唐突過ぎるほどぴたりと足が止まった。


なんて不運なんだろう。


終わったな、と。どこか他人事のように遠く感じた。



「純くん…」


目をいっぱいに見開いた先にいたのはよく知ってる人。


壁に寄りかかり待っていたのは、比べるものが他にないんじゃないかと思ってしまうほど整った容姿を持つ、煌びやかな美少年。


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