【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。


そんな様子を端から見ていた女の子は何か企んでそうに口角を上げて、口元に手を当てる。


「あっれぇー?もしかしてあたし、お邪魔だったり?」



隠しもしない含み笑い。


何か誤解があるよう。


今のがそんなに仲良く見えたならきっと、幻覚か何かだっただろうに。


けど弁解するより先に、え、と大げさに反応して見せたのがまずかったのかもしれない。



「いや、あの……」


「いーのいーの。じゃ、あたしジュースでも買ってくるからごゆっくりぃ〜」


結局、何かを口にすることもできなくて。


何も言わせてもらえないまま、彼女はそそくさと出て行ってしまった。



なんなんだ、一体…。


残された側の気持ちで言わせてもらえば頭に浮かぶのは本当にそれだけで、場の処理に戸惑った。


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