【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。


「変だと思ったんだよ。大して話した事もない俺をここに連れて来るなんて。
お前とあの人は結構仲良かったみたいだけど、どっちかっつーと俺は、お前とは他人に近い間柄って感じだったし」


どちらにせよ私とこの人達に面識はあった。


少なくとも、彼女とは相当深い仲だったようで、安直な行動をとらなくて良かったなと内心安堵した。



「けど、いきなり俺のとこ来てあの人、ここまで引っ張ってきて。お前の事とかも聞かされてさ、何か思うところあったんだろうなって思う」


……聞いたのか、と。


知られて少し、残念な気持ちが湧いてきて悲しくなる。


どうしてだろう。


「実際、今のお前の心情を思ったら何も言えなくなったんだろ。可哀想だよな」



可哀想……?


ああ、そっか。


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