【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。



そう感じたら、また自然と口は開いていた。



「…私、自分が冷めてるんだと思ってました」


1人の時よりもずっと感情の起伏が激しくて、自分でも意外な一面に戸惑ってばかりで。


そんな私に、彼はキョトンとした顔で目を瞬かせた。


「何言ってんだ?お前別に冷めてねーだろ。俺から言わせれば、行動がすげー分かりやすい。
いくら付き合い短くても、お前の考えてる事なんて表情から全部汲み取れる」


さも当たり前に言って退けると、さっきまで私が読んでいた本を顔の高さまで持ち上げてくる。


「これ、俺がお前に貸してたんだよ」


「…そう、なんですか?」


聞き返した私に軽く微笑を浮かべると、視線は本へと向かう。


「ここにある。傷もない。ページは折れてないし、埃も被ってない。
それだけ分かったら十分だ。大事にはしてたんだろ?」


言われて、思わず唇を噛んで声を封じる。


< 119 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop