【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
そう感じたら、また自然と口は開いていた。
「…私、自分が冷めてるんだと思ってました」
1人の時よりもずっと感情の起伏が激しくて、自分でも意外な一面に戸惑ってばかりで。
そんな私に、彼はキョトンとした顔で目を瞬かせた。
「何言ってんだ?お前別に冷めてねーだろ。俺から言わせれば、行動がすげー分かりやすい。
いくら付き合い短くても、お前の考えてる事なんて表情から全部汲み取れる」
さも当たり前に言って退けると、さっきまで私が読んでいた本を顔の高さまで持ち上げてくる。
「これ、俺がお前に貸してたんだよ」
「…そう、なんですか?」
聞き返した私に軽く微笑を浮かべると、視線は本へと向かう。
「ここにある。傷もない。ページは折れてないし、埃も被ってない。
それだけ分かったら十分だ。大事にはしてたんだろ?」
言われて、思わず唇を噛んで声を封じる。