【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
病的なほどに白く透明感があるのに、違和感や不快さを微塵も感じさせない素肌。
それは陶器のようにスベスベとしていて羨ましい限り。
柔らかな黒髪は一本一本が絹糸のように細くて、サラサラしている。
少し下がった目尻は柔らかく、優しげな印象を見る人に与える。
決して低いわけじゃない身長と、ピンとした背筋ですらりとして見える体格。
端整な面差しに加えて分け隔てない人柄は、彼の魅力を一層際立たせる。
少なくとも私は、この人以上の人に会ったことがない。
完璧過ぎて怖いくらいの私の――幼なじみ。
「どうしたの?そんなに急いで」
ゆったりと心地良い声に問い掛けられて、一瞬、息が止まる。
ここに居合わせたのは偶然?それとも必然か?
少し考えれば分かること。
けれどこの時の私は異常に忙しない精神で全てが一杯一杯になり、思考が衰えていた。