【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。


自分の事ながら、気付かされて今更納得してしまったのは否めなかった。


良いことなのか、そうでないのか……


うーん、と複雑な表情を浮かべているだろう私にまた、拍子抜けするような言葉がかかる。



「にしても……お前に敬語使われると、妙な違和感するな。普通でいい」


「え、でも…」


…突然言い出すもんだから、流石にまだ無理だと言いかけるけど。



「俺のが後輩だし」


「…はい」


「お前先輩だし」


「…はい」


「で、何かおかしな事言ったか?」


「言ってません、はい…」


この人が後輩だとか、自分が先輩だとか、同い年とかよく分からない。


知らない事が多すぎるのにいきなりの仕打ちが酷いと思う。


敵わないな、本当…。


はあ、と溜息を吐きつつ、意識を遠くにやりかけた時。



「気遣うとか考えるなよ」


「……うん」


念押しされてしまい、信用がないのかと思わず掛けた懐疑は仕方ないと許してもらいたい。




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