【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。



「最近、何かあった?」


「何か…?」


言いたいことの意味を考えてみるけど、特に思いつかない。


自分でも気付かないうちに何かをやらかしてしまったんだろうか。


首をひねる私に対して、もどかしそうに足を揺らす奥田さんは何だか変だ。



「あ……だ、だから…その、ね…?
誰か、来なかったかなぁ……って、思って」


「誰か…?」


「あのね、あたしと香川くん以外に誰か、媛華を訪ねて来なかった?」


分かりやすいくらいの遠回しな言葉では伝わらないと踏んだらしい。


悩んだ末にか、最終的にストレートに言葉をくれてようやく何が言いたいかが分かった。


だけど、思いつく限りでただ一人しか頭に浮かんでこない事に多少の焦りを感じた。



言えばいい。


詳細は話せなくても、それは綺麗な男の子が訪ねてきたんだと。


ただそれだけ。話は終わりだ。



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