【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。



そう、確かにそれだけのはずなのに。


この人には隠しておきたいと、何故だか思ってしまって言い淀む。


無言は肯定。


こんなの、如何にもと頷いてるようなもの。


必死に隠そうとしているこの行動が怪しい事は私もよく分かっていて、汗が滲む。


案の定、私の顔を見て悟ったらしい彼女は直球に突いてきた。



「榎本くん、でしょ?」


「えの、もと……?」


そういえば、あの人の名前を知らない。


今更ながら気付いた私の考えている人と彼女の考えている人は、果たして同一人物か。


もしもそうでないなら、まだいくらでも誤魔化しようはある。



だけど。


「榎本純くん。成績優秀、誰にでも優しくてそこらの人じゃ比較にならないって、みーんな認めるイケメンくん」


歌うように告げられた的確な説明のおかげで、連想するのは容易だった。


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