【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
ああ、リセット、しないと。
始めから全部、やり直さないと。
だってそうしなきゃ、すぐに、また…——。
鈍った頭を過った、信じられないくらいに冷静で、突き放すように無感情な言葉たち。
もう、考えてすらいないのかもしれない。
このままだと本当にゲーム感覚でボタンを押してしまいそうだ。
今にも切れそうだった細い糸のような理性を奮い起こして、寸でで自分を律する。
「飲み物……買って、くる……ね…」
振り絞って出した声は届いたのかさえ、定かでないくらいに小さくて弱い、囁き声。
自分の声じゃ、ないみたい。
漏れ出た笑みは、自分でさえ怖気付いてしまいそうなほど渇いていた。