【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。





* *



どれだけ疲れても足を止めなかった。


段々と早足になるのは、今の状況や気持ちにでも誘発された所為かもしれない。


それが、病院の端の端にある自販機の前でぴたりと止んだ。



その反動で、動かし続けた足はがくがくと痙攣を起こして、その場に立つのも辛いほど。


まるで体がエレベーターに乗っている時のような、浮遊感。



ここまで来なくたって別に、どこに行っても目当てのものはあったんだ。


なのにこんな所まで、足を伸ばしたのはどうしてだろう。


何かを考えての行動じゃなかった。


ただ、気付いたらここにいて。


やっぱりまた、どうしてだろう、なんて疑問に行き着いてしまう。



思考が体に追いつかない。


ずるずると引きずられて、また落ち込んでは同じ事の繰り返し。


頭の中は全然整理できなくてぐちゃぐちゃ。


そして、押しつぶされそうなほどに胸が、痛いんだ。


< 148 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop