【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
* *
どれだけ疲れても足を止めなかった。
段々と早足になるのは、今の状況や気持ちにでも誘発された所為かもしれない。
それが、病院の端の端にある自販機の前でぴたりと止んだ。
その反動で、動かし続けた足はがくがくと痙攣を起こして、その場に立つのも辛いほど。
まるで体がエレベーターに乗っている時のような、浮遊感。
ここまで来なくたって別に、どこに行っても目当てのものはあったんだ。
なのにこんな所まで、足を伸ばしたのはどうしてだろう。
何かを考えての行動じゃなかった。
ただ、気付いたらここにいて。
やっぱりまた、どうしてだろう、なんて疑問に行き着いてしまう。
思考が体に追いつかない。
ずるずると引きずられて、また落ち込んでは同じ事の繰り返し。
頭の中は全然整理できなくてぐちゃぐちゃ。
そして、押しつぶされそうなほどに胸が、痛いんだ。