【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
こうもあっさりと純くんの計略にはまってしまった自分が情けない。
なんて馬鹿な私。
人を試して踊らせて、突き落とす。
逃げられないように掴んで繋いで、閉じ込める。
後悔しても、もう遅い。
この状況で逃げ場なんてあるわけない。
だって、私は純くんを怒らせた。
慣れることなんて到底出来そうもない。
この先もきっと、何度体験しても同じ。
こういう時の対処法は、どんなに試行錯誤したって見つからない。
回避の仕方なんて、ずっと、知らないまま。
「どうしたの?早く鞄取っておいでよ」
急かしているはずなのに、まるで促しているようには聞こえない。
その言葉には、まったく別の意思が込められていた。
「やっぱり僕は先に帰るよ。
家で、待ってるから。ねえ……早く、来てよ」
「…っ」