【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
入れ替わりのように私の中に生まれた不安。
動悸が速くなっているのが分かった。
形容できない、何とも言えない気分で聞き入った。
「あたしと媛華ってね、中学から一緒にいるんだ。だから嫌でも分かっちゃう。
たまに外される視線とか、沈黙とか。もともと喋る方じゃないけど、不自然な動きとかって、端から見てたら案外気付いたりするもんなんだよねぇ」
うまく隠してつもりだろうけど、と少し笑って言われると途端に恥ずかしくなってくる。
私であって私じゃない、知らない自分の身の上話。
そんな不思議な話が耳を傾けると聞こえてきて、妙に鮮明で。
現実味がなくて、でもある、なんだかすごく曖昧な感じ。