【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
「むかっ!確かにかけてるけどっ……いや!いーや、かけてないっ!
あたしのはお茶目さがあってちょうどいーの。
所詮は生意気な後輩くんの言葉だし?あたし寛大だから許してあげないこともないような、許そうと思えばやっぱり許せないような……」
「まどろっこしいな。つか、結局許さないのかよそれ」
呑まれるように調子が戻り出した事を確認するように、そっとドアを閉める。
その間も、ギリギリまで会話を聞いていた。
戻るに戻れなくなったのが今は幸いかもしれない。
楽しそうな二人のいる部屋に、私が行ったらまた嫌な事を思い出させてしまうだろうから。
それに、今戻ったら会話を聞いていた事がバレるかもしれない。
勘繰りすぎだろうけど。
本当、面倒くさい性格。
はあ、とため息を吐いて、二人に何か買ってこようと売店に向かう。
階段は……やっぱり、疲れるか。