【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。



エレベーターを待ちながら、ぼんやりとさっき聞いた事を一つ一つ、丁寧に整理してみる。


私が知らないから。


見ていないところで、傷付いて泣く人もいる。


考えてみれば当然の結果なのかもしれない。


逆に今まで思い至らなかった事自体が不思議でならない。



やっぱり、無知なままなのはいけない事なんだろうな、と。


あれほど悩んでいた問題が、すんなり解決しかけていて、ちょっとだけ安心できた。




チン、と小さな音がして、エレベーターが到着した。


開いたドアから30前後と思われる男女が降りてきたから一旦脇に避けて、降り切るのを見届けてから入れ違いに乗り込もうとした。


その瞬間——。





「ひ……めかぁああっ!!!」



本当に一瞬、隕石でも落下してきたのかと思ってしまった。


ああ、なんて非現実的なんだろう。



< 157 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop