【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
そんな事を考える間もなく、私の体は凄まじいほどの力で締め付け……否、抱きしめられていた。
訂正しなくても、意味にさほど違いらしい違いはない。
ようは形容する気持ちと言葉の問題だ。
なんて、呑気なやり取りを自分の中で続けていたらきっと私は窒息してしまう。
もしくは絞め殺されてしまうだろう。
訂正虚しく、現実は非情なまでに私の頭を冷静にさせた。
……うん。
とりあえず、離れて欲しい。
解放して、今すぐに。
言いたいところだけど、それを口にできない息苦しさ。
それを救ってくれたのは、私を無遠慮に腕に抱く女性の傍らに立つ男性だった。
「おい、媛華が困っているだろう。離してやれ」
正確には苦しんでいるんだけど。
素直に受け入れて簡単に離れてもらえた事にひとまずは安堵する。
「え、あらやだ。ごめんなさいねっ」