【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
貼り付けたような笑みはそのまま。
けどもう、それを見ても、恐怖心は湧き上がってこなかった。
この場で必要なのは、感情を殺すこと。
無情になって考えることをやめること。
あるのは、弄ばれるという形だけの覚悟と意識だけ。
自室まで手を引かれて、締め切ったカーテンで薄暗くする。
ベッドに押し倒されたらゆっくりと視線を交えた。
それを合図に、焦らすようなキスが唇に落ちてきた。
徐々に口付けは荒々しいものに変わり始める。
滑り込む純くんの舌が、緩く擦り合わされた歯冠を開かせて中で動き回ってくる。
息なんて吐く間もないほど責め立てられて、自然と唇から声が漏れた。
「っん……じゅ、…く…」
強制的にその場の雰囲気に馴らされて、思考は順応していく。
感情のこもっていない、抑揚のない声を漏らしてみせる。