【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
そう思うけど。
だけど私は何も言えないから。
言えるほど、強くないから。
だから……
「純くんの為なら、いいよ」
自分を守るためと嘘に嘘を重ねて、偽りの自分をつくってみせる。
多少大げさなほど構えてしまう心持ち状態の、それ自体がもう既に嘘かもしれない。
虚勢を張って、退けない意地でここまでやってきた。
だけどそんなの意味はなくて。
自分でさえ理解不能。
少ない項目の他に、選択肢が存在しないなら。
純くんを選べないなら。自分の身を守れないなら。
私は初めから、選ぶことをきっとしない。
だって不安なの。
純くんを一人にしたら、本当にどこかに行ってしまうような気がして。
どんなに心内で誹謗したところで実際にこの人を見捨てるなんてこと、私にはどうしても出来ないんだ。
純くんの背中にそっと腕を回す。
徐々に力を強めて、必死にしがみ付く。