【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
「僕と一緒だ」
小学5年生だったか。
転校してきた男の子に、それは意味深に告げられた。
「…なに?」
男女共に互いを意識し出す年頃。
感情を表に出すのが苦手で、一目置かれることに後ろめたさまで感じていたあの時。
眉間に皺を寄せて、比較的大きな目を細めると睨んでいるようにも見える。
加えて、素っ気なく返しては人を遠ざけてしまう悪い癖。
自分に嫌気がさしていた。
「媛華ちゃん…だっけ?媛華ちゃんも、僕と一緒」
一緒って、なに?
転校初日からクラスの人気者で、顔も頭もいい人と私が対等なわけがない。
この頃の私は、何でも卑屈に受け止めてしまう。
そんな子供だった。
「一緒じゃないよ」
「ううん、そんなことない」
「……」