【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。



行為が終わったあとの純くんは、いつも決まって優しくなる。


私を見据えていた冷たい瞳が嘘のように消え、その目は私を純粋に気遣うそのもの。



けどそれは、自分が仕出かした事の重さに後ろめたさを今更感じているわけじゃない。


むしろ初めから理解していて、冷静に事を受け入れているように見える。


それに対してまた、歯痒さを抱いているようにも。



同時に、そういう時は決まっていつも悲しそうなんだ。


私にあれだけのことをするのは純くんなのにね。


「いま何時…?」


「え、今?今は7時だよ」


結構な時間眠ってたらしい。


ダメだな、とため息を吐いていると、まだ階段の最上段に足を掛けている純くんがにこやかに言った。


「ご飯、作ったから食べようか」


「…うん」



たんたん、と1階に降りていく純くんの後に続いてリビングに入ると、大好きな香りが充満していた。


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