【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
胃がくすぐられて、急激にお腹が空いてきた。
「オムライスだ…」
「好きだよね、ヒメ」
「うん、大好きっ」
テーブルの上に置かれた、出来立てほやほやの私の大好物。
私の好みを知り尽くしている純くんの、こういう優しさがさり気ないけど身に沁みる。
普段は意思表現の下手な、本当にただの男の子。
手懐けて油断させるためかもしれない。
そう勘繰ってしまうけど、純くんのこんな一面も知っているから私は、彼を本気で許せないわけじゃないんだ。
「いただきます」
「ん、どうぞ」
一口食べると、口の中でふわっと柔らかくとろけた。
全然派手じゃないけど、私好みの良い味に仕上がっている。
「んーっ、美味しい!また腕上げた?」
「練習したからね。それなりには」
絶妙な卵の半熟さと、ソースの組み合わせがまた堪らない。