【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。



「ありがとう、ね。この際、もっと別の料理にも挑戦してみたら?絶対センスあるよ」


「はは、考えとくよ。
ほら、早く食べないと冷めるよ」


「うん」



私は、どうしたって純くんを憎めない。


こんなに温かくて優しい人を嫌いになんてやっぱり、なれないよ。





――



夕食も終わり、純くんは台所で洗い物を片してくれている。


それくらい私がやるのに…


だけど、純くんは絶対にやらせてくれない。



「僕がやりたいの」


いつもこの一点張りだ。



ソファに座ってテレビを見ている私の後ろでは、カチャカチャと皿のぶつかる音。


台所に目を向けると、俯き加減に流しを軽く洗っている純くんの姿が目に入った。


ジッと見ていると、視線に気が付いたのか顔を上げた純くんと目が合った。



「…え、と…なに?そんなに見られるとやり辛いんだけど…」


「あっ……ごめんなさい」

< 35 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop