【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
「ありがとう、ね。この際、もっと別の料理にも挑戦してみたら?絶対センスあるよ」
「はは、考えとくよ。
ほら、早く食べないと冷めるよ」
「うん」
私は、どうしたって純くんを憎めない。
こんなに温かくて優しい人を嫌いになんてやっぱり、なれないよ。
――
夕食も終わり、純くんは台所で洗い物を片してくれている。
それくらい私がやるのに…
だけど、純くんは絶対にやらせてくれない。
「僕がやりたいの」
いつもこの一点張りだ。
ソファに座ってテレビを見ている私の後ろでは、カチャカチャと皿のぶつかる音。
台所に目を向けると、俯き加減に流しを軽く洗っている純くんの姿が目に入った。
ジッと見ていると、視線に気が付いたのか顔を上げた純くんと目が合った。
「…え、と…なに?そんなに見られるとやり辛いんだけど…」
「あっ……ごめんなさい」