【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。


やっぱりまだ、純くんを恐怖の対象として見ているのか。


単にそうする事に慣れてしまっただけか。


よく知らないけど、本人がいないところでもその話題に乗らないといけない、そういう義務感みたいなのは、私自身、とても気分が良いものじゃない。



「あ…の、純くんは今日、寝坊しちゃったみたいで。
あの、だから…先に行ってて……って」


絞り出した言葉に嘘は微塵も潜んでない。


それなのに、どうして?


隠しておきたい、悪い事をしてしまったみたいに後ろめたくてしょうがない。


今にも汗が吹き出しそうなこの、不安感は何なんだろう。



仮に何かがあったとしても、意識でもしない限り、美乃里がこのやましい気持ちに気付くとは思わない。


深追いなんてしてこない事くらい分かってるのに。


案の定、美乃里は「ふーん?」と特に気にした様子もなく相槌を打った。


< 47 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop