【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
やっぱりまだ、純くんを恐怖の対象として見ているのか。
単にそうする事に慣れてしまっただけか。
よく知らないけど、本人がいないところでもその話題に乗らないといけない、そういう義務感みたいなのは、私自身、とても気分が良いものじゃない。
「あ…の、純くんは今日、寝坊しちゃったみたいで。
あの、だから…先に行ってて……って」
絞り出した言葉に嘘は微塵も潜んでない。
それなのに、どうして?
隠しておきたい、悪い事をしてしまったみたいに後ろめたくてしょうがない。
今にも汗が吹き出しそうなこの、不安感は何なんだろう。
仮に何かがあったとしても、意識でもしない限り、美乃里がこのやましい気持ちに気付くとは思わない。
深追いなんてしてこない事くらい分かってるのに。
案の定、美乃里は「ふーん?」と特に気にした様子もなく相槌を打った。