【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
「じゃあ今日は朝からあたしが媛華を独占できるね」
冗談交じりに言って、大げさなくらいの反応を見せて抱き付いてきた。
私の言動は特に不審感を与えなかったみたいで、ひとまず安堵する。
そう、これが普通なんだ。これが…
そう自分に言い聞かせると同時に、胸をきりきり締め付けてくる、ほん少しの罪悪感。
美乃里がこの先も、私と純くんの関係を知ることはきっとない。
私から相談しようとは思わない。
何気なく聞かれて、同じようにただ何気なく、幼なじみだと一言返したくらいだ。
友達だから言える言えないの問題じゃない。
美乃里に嫌な思いはさせたくない、重荷を背負わせたくない、友達としての人情。
そう正当化された、幻滅されることへの極度の不安。
言えば私も美乃里も変わってしまう。
言わなければ現状維持。そのままだ。