【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。


どちらを選び、どう転んでも有利なんてない。


それなら、自分が少しでも安心できる方を選ぶのは、必然のこと…でしょ?



先の先まで読んでは落ち込んで。


途方もなく低い可能性でも、ゼロではないならと。


どんな状況に応じても最優先に、そう思ってしまう。


結局、そんな私の思いは見せかけばかり良くしただけの、エゴなのかもしれないけど。


嫌なものはイヤ。



全てを話して、手元に僅かに残った何もかも壊してしまうくらいなら。


美乃里は知らないままでいて、お願いだから。



それでいいだけなんだ。


ギュッと握りしめた手は、異様に汗ばんでいた。



「……媛華?どうかした?」


「…ううん、何でもない」


「…そ、っか」



ほんの、一瞬だけ。


美乃里が顔を歪めたようにも見えたけど、本当に一瞬だったから、きっと勘違いだと考え直す。


< 49 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop