【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
どちらを選び、どう転んでも有利なんてない。
それなら、自分が少しでも安心できる方を選ぶのは、必然のこと…でしょ?
先の先まで読んでは落ち込んで。
途方もなく低い可能性でも、ゼロではないならと。
どんな状況に応じても最優先に、そう思ってしまう。
結局、そんな私の思いは見せかけばかり良くしただけの、エゴなのかもしれないけど。
嫌なものはイヤ。
全てを話して、手元に僅かに残った何もかも壊してしまうくらいなら。
美乃里は知らないままでいて、お願いだから。
それでいいだけなんだ。
ギュッと握りしめた手は、異様に汗ばんでいた。
「……媛華?どうかした?」
「…ううん、何でもない」
「…そ、っか」
ほんの、一瞬だけ。
美乃里が顔を歪めたようにも見えたけど、本当に一瞬だったから、きっと勘違いだと考え直す。