【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。


頰のあたりが熱くなった。



「わぁー、純情!」


クスリと笑う男の子に、何だかバカにされているみたい。


嫌だな、って思って、眉が寄るのを感じた。



「だってっ…!」


カッとなって、反論をしようとした。


けどその前に、一瞬軽く唇が触れて、離れた。



何が起きたのか分からない。


呆然としていると、男の子は自分の唇をペロッと舐めた。



「キスしちゃった」


悪戯が成功したような笑みを浮かべて、さらりと言う。


その言葉で、現状を理解した。



「わっ、私の…」


「ファーストキスなの?」


続きを言えずに口籠っていると、掻っさらうように紡がれる。


ファーストキスを強調する言葉に、再び顔が赤く染まった。


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