【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
ただ……
「絶対!絶対だから」
私の手を掴んで、常の笑顔で約束事を取り付ける美乃里を前に、心が痛んだのは確かなこと。
「そだ。今日さ、お昼コンビニで買おうと思うんだけど一緒に行かない?」
決して鈍いわけではない美乃里が、微妙な雰囲気を悟ったかどうかは分からないけど。
突然、思い付いたように話題を切り替えてきた。
「あ……ごめん。今日ちょっと先に図書室行かないといけなくて。前に借りた本の貸し出し期限今日までだから」
やんわり、言葉を選びながら断りを入れる。
もちろん、不快になんて美乃里が思うわけもなく、ただ笑いながら返事が返ってくる。