【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
その後、校内にある自販機で一番高いジュースを奢ることでひとまず手を打った。
とはいえ、たかだか一本。
高校生の懐に優しい値段で学校だって置いてるから、少しくらい値が張ってもそれほど痛手はない。
初めからそれを考慮してか、うまく乗せられたような気がしなくもないけど。
なんだかんだと彼女に甘い私は、快く了承してしまうのだった。
――昼休み。
チャイムが鳴ったと同時に席を立ち、廊下へと飛び出したクラスメイトを尻目に、教科書を机に入れ終えて立ち上がる。
そこでふと思い出して、鞄に手を入れて本を探り当てた。
危ない、忘れるところだった…。
小さく息を吐くと、もう既にいない美乃里のあとに教室を出た。
途中、純くんの教室の前を通り過ぎたけど、意識して目を向けないように努めた。
毎日会ってるからか、進んで顔を見ようとは思わない。