【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
生真面目だから、多少遅刻しても来る人だということを私も良く知ってるし。
だから、確認するまでもないんだ。
――
「失礼します」
『飲食禁止!私語厳禁!館内では静かに』と注意書きの貼られたドアを開けて図書室に入る。
思いの外少ない、というか誰もいないと思ってしまった。
テスト前ならまだ数人の存在が認められるけど、元々、校内での勉強意欲のある人はそういないこの学校。
見れば司書の人がカウンターに座っていたから、返却口に本だけ置いて室内をぐるりと回ってみた。
興味惹かれるものもなく、諦めて帰ろうかと思ったけど。
「あ、この本…」
視線を下に向けてつい、声を漏らす。
最近、別の作品で実写化したことにより有名になった著者の、知る人ぞ知るマイナー過ぎる本を見つけた。