【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。


突然申し訳なくなり、間違えた自分が何故だか恥ずかしくなってしまう。


ほんのり熱を帯びた頬を引き締めて、見なかったことにしようと、平静を装い通りすがろうとした。


だけど……



最初に屈んだ際にずれたのか、体制を戻そうとして傾いたのかは分からない。


もしかしたら両方かもしれない。


胸ポケットに入れていた携帯が滑り落ちるのを見て、あ……と目で追うも、時既に遅し。


静寂に落とされた、一際大きな落下音にびくりと肩が跳ねた。


……起こしてしまったかもしれない。



恐る恐ると振り向いて視線を向けてみると、案外、眠りが浅かったのか、男の子はばっちり目を開いていた。



けれど、まだ寝ぼけて状況が理解できていないらしい。


欠伸をもらして、小さく伸びをしている。


眠りから覚めて、まるで、ここはどこだと言わんばかりにくりくりとした二重の目を瞬かせる。


そのたびに長い睫毛が頬に影を落とした。


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