【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
好きな人とする初めてのキス……なんて、この年の女の子はそれくらい夢見るもの。
それが当然のように、私もちゃんと小学生だった。
慌てる私をよそに、男の子はおかしな提案をしてきた。
「媛華ちゃんさぁ…僕と“幼なじみ”してみようよ」
「…は?」
「もちろん、ただの幼なじみじゃないけどね」
首を傾げる私に、男の子は意味深に笑った。
「こういうこと、するの」
唐突に顔を近付けられて、キスされる。
一度ならず二度までも、と反応が遅れて口を抑える。
「ねぇ、どう?」
優越に、どこか上から物を言われているような気になってしまう。
勝ち誇ったように自信に満ちた顔を見せられて私はどうしてか、逆らえないと感じた。
なぜかは分からないけど、勝てないと思ってしまった。