【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。


だけど、私の中では間違いなく、この作家の代表作だと一押しできる一冊だった。



一見、誰でも書けそうな、何処にでもありそうなありふれた内容。


けど決して真似できない、この人特有の書き方である、型にはまらない文章の綴り。


何度読み返しても惹きつけられて、実を言えば私がこの作家を知ったのも、この本を読んだことがきっかけだった。



「第3作だったかな。一番印象に残ってる作品だから、大まかで良いなら内容も言えるよ」


「まじ?つくづく気が合うな。俺もこれが一番好きなんだ。絶対代表作だって!」



同意見の言葉に、ついにくすりと笑みを零した。


本当、よく気が合うみたいだ。


純くんは読書家だけどジャンルが全く違うし、美乃里はそもそも本を読まない。


同じ趣味を共有できる人が周りにいなかった今、いざ目の前すると、興味を持ってしまうのは必至。


妙に覚えた親近感に胸が躍る。


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