【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
もう少し、話していたくなった。
名前を聞いたら答えてくれるだろうか。
けれども――。
『ヒメは僕のお人形』
ドクリ、嫌な音が胸の奥、心臓を通して鳴り響く。
否、感じただけかもしれない。
ただの恐怖から、ゆっくりと。
効き目の遅い猛毒が、それでも確実に侵攻してくるように、深い心底から芽生え始めた服従心。
……そう、なのかもしれない。
一瞬、一時の気迷いかもしれないけど、確かなことはある。
純くんは、自分や私に媚び売る人を忌み嫌う。
きっと、本人ですら意識してないだろうそれは、外面ではなく内に隠れた暗い部分。
それが雰囲気に織り混ぜられて、伝わってくる。
だからだろうか、もっと深くまで感じ取ってしまうのは。
本当は気付かないふりをしてただけ。