【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
純くんが本音を巧妙に覆うから、私は全てを知る事は出来ない。
彼は嘘を吐くのも隠すのも上手いし、私なんて分からない事だらけだ。
それは本当のこと。
けど、だからこそ分かる事がただ一つだけ。
私自身や、自分以上に、純くんの私に対する依存性は異常だ。
私の周りの人を遠くから見定めて、私に近付く輩を絶対に許さない。
それが特に酷いのは、異性――つまりは男の人相手だと、私は知っている。
ここで、私は趣味を共有できる人と楽しく会話までしている。
後輩だけど、異性で男。
第一印象は強烈だったけど、別に嫌いじゃない。
そんな人と、こうしている事も純くんの意趣に反するのだろうか。
名前も知らない、目の前の彼。
瞳をキラキラさせて、目を細めて、目尻をきゅっと下げて、それは屈託なく笑う。
本当に大好きなものの話ができて嬉しくて仕方ないって顔。