【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
近付くのはダメ。
歩み寄っても隣に並べない。
触れなくても、話す事さえ許してくれない……?
基準が分からないから、怖くなる。
私の行為はまた、純くんを裏切っているのだろうか。
彼の心に負荷をかけてしまっているのだろうか。
それなら、私はどうすれば……
「――おい…?」
困惑気味の声色。
どこか気遣うような優しい声音。
声をかけられて我に返るけど、自分が何をしてたのか一瞬分からない。
ああ、そうだ、と思い出した頃には、彼の眉間には皺がいくつも刻まれていた。
「具合でも悪いのか?顔真っ青だぞ」
「……あ…ぇと、大丈夫……」
気丈を装い笑うと、また眉間の皺は深くなる。
彼を、怒らせてしまったか。
申し訳なく感じて、どう詫びを入れようかと考えを巡らせていると。