【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
氷解されない因果の果てに
何事も起きない……
それこそ私にとっては変哲もない数日が過ぎた。
昼休みに中庭のベンチにて、弁当を広げて昼食を食べていると視線を感じて顔を上げた。
「んー……おかしい」
「…なにが?」
さっきからだんまりを決め込んでいた美乃里の唐突な言葉に、ぴたりと箸を止めた。
珍しく口数が少ないな、と思っていたら何やら悩み事でもあったよう。
顎に手をやり私を見つめるその目を、首を傾げて見返す。
なのにずっと「おかしい。うん、やっぱり」などと、ひとり呟いて教えてくれない。
意味深すぎて戸惑いながら、私は再び問いかけた。
「だから、何が?」
はあ、とため息を吐きながら、少し強めの口調になった私に、一瞬肩を揺らした美乃里は視線を横にずらした。
言ってもいいのかと自問するよう、まだ悩んでいるようだったけどゆっくり口を開いた。