【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
「媛華が、よ」
「……私?」
美乃里の、その眉を寄せる顔が怒っているようにも見えて。
私、何かしたかな……。
勉強見てあげなかったことか。
日直当番代わらなかったことか。
この前一人でさっさと帰ったことか。
うーん、と頭を抱えて記憶を呼び起こしてみるけど、思い当たる節が多すぎてなかなか難しい。
考えれば考えるほど、脳内で雁字搦めになる糸に訳が分からなくなっていく。
「……あの、よく分からないけど……もし非があったなら謝る。
だから、何が――」
「もうっ、ちっがーう!!」
何がいけなかったか教えて、と。
早々に降参の意を示した私の言葉は、美乃里の怒った口調によって遮られた。
「だからぁ……いつもそうだったけど媛華、最近ずっとぼんやりしてる。
言っちゃえば、心ここに在らずって感じ」
「は…?」