【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
「で、ほんとに何かあった?」
ここに来て突然、神妙な顔つきになった美乃里に、こっちがドギマギする。
今までのは何だったんだか。
色々と言いたいところはあるけど、長引きそうだから流石に黙る。
とはいえ、突っ込まないのは普段からだから特に変わらない。
「別に、何もないけど」
言いながら、弁当にようやく視線を向けて、昨日作ったキンピラを口に含む。
うん、ゴマが効いてて結構いいな。
濃すぎてないし、自分にしてはよくできた方。
顔を逸らせる口実ができて、安直ながらもほっとするけど。
「うーそ。あたしには何でもお見通しでーす」
何に火をつけてしまったか、今の美乃里にごまかしは聞かない。
好奇心、とは……少し違うかもしれない勢いに押されて、思わず苦笑を零して回避を決め込む。