【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
けど、疑問なのはそう、その顔だ。
どうしてこうも信用性に欠ける人なんだろうと、初対面の私が思ってしまうほど。
「……で、何か用事でも?」
考えたらキリがないことに気付いたのは、疑問が露わになったすぐ後で。
ひとまず一旦置いとかないと延々と続きそうな気さえしたから、返答を急いだ。
おかげでまた誤解を生むような冷ややかな態度になってしまったのはもう、察して許して欲しいところ。
今更直そうにも直せないこの性格が悪いんだ。
結局、自分に非がある事を思い知って落ち込むのはぐっと堪えた。
けど、受けた本人はさほど気にしていない様子で話に応じてくれた事に安堵した。
「ああ、この前話してたこれ。本屋で偶然見つけたから、お前も読むだろうなと思って渡しにきた」
「……っあ、これ…!」